【決算解説】メルカリが苦戦。「アメリカ」の壁は高かった
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長年のグローバル小売業経験から言えるのは、アメリカ市場の参入は、ハードルが非常に高いです。
理由は、長年ディスカウントが激しい市場で、日本人の感覚からは想像を超えるディスカウント率の攻め合いであり、消費者が安価で買うことに慣れてしまっていること。
さらに、リユース市場は日本より成熟市場であり、手軽にリユースの店舗があったり、個人宅の前で「ガラージセール」といった中古品を自宅のガラージ前で週末に売ったりもしています。
チャレンジは多いものの、世界一位の経済大国であるアメリカ市場の参入と成長は、多くの企業にとって将来の成長でもあるので、これからの展開を楽しみにしています。メルカリが最新の本決算を発表しました。売上高、営業利益とも過去最高。一見、とても好調な決算です。しかしこれまで怒涛の勢いだった「成長率」を見ると、この会社の成長フェーズの変化が読み取れます。
山田CEO肝いりのアメリカ事業は、マイナス成長と赤字がダブルで続きます。直近では人員削減に踏み切りました。それだけではありません。会社全体の収益を支える国内のフリマ事業でも、成長の鈍化が目立ちます。巨大なユーザー基盤を武器に、さまざまな新規事業を仕掛けてきたメルカリですが、その"方程式”はいつまで通用するのでしょうか。今年のメルカリは売上と利益いずれも過去最高。
売上は1874億円(前期比9%増)、営業利益は174億円(同6.7%増)です。
ペイやカードのフィンテック事業は、初期投資がありましたが順調に伸ばしています。
直近の懸念はメルカリUS事業。売上の4分の1がアメリカからで、売上は鈍化。コロナ禍の巣篭もり需要が終わり、中国ECという競合の台頭で伸び悩んでいます。
創業者自ら本気でUS事業に取り組む姿勢は、今の市況と逆行するかもしれません。しかしイノベーションは挑戦からしか生まれません。株主はすぐの結果を求めるでしょうが、一経営者としては世界を変えるような何かが生まれると期待しています。