【傑作10選】大人を揺さぶる『正解のないマンガ』がすごい
- ①絶対的に異なる他者と「共生できるか」
- ②大切な人の「根本変化」を受容できるか
- ③母親も「ひとりの不完全な人間」だった
- ④清廉潔白じゃない、傷だらけの「離婚危機」
- ⑤人生50年を超えて、さまよう男への「鎮魂歌」
- ⑥普通すぎる大人が「格好良く生きる」こと
- ⑦ひたむきな若者を応援する「大人の責任」
- ⑧誰も知らなかった「本当のワタシ」
- ⑨「ブス」と「美形」が向き合うルッキズムの呪い
- ⑩大人が没頭できる「極上サスペンス」
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「正解のないマンガ」ということで、個人的な葛藤だけではなく、社会や国家、世界に課された現実的な問いに重点を置いた近年のマンガを挙げていきたいと思います。
①『平和の国の島崎ヘ』
かつて少年兵としてテロや殺戮に従事してきた者たちにどのような救済が与えられるべきなのか?
そのために日本政府がとるべき具体的な施策は?
②『売国機関』
戦後、2つの大国の圧力に挟まれることになった中規模国。経済も内政も両大国の干渉のままに翻弄される。
中規模国の不満は内乱を引き起こす水準に達しており、それを武力で鎮圧する軍治安機関は自国民の憎悪の対象となる。
③『オオカミライズ』
中国に併合され「倭族自治区」となった日本。
中国軍の生体実験施設から脱走して、東北地方の山岳地帯で絶望的な抵抗を続ける日本人たち
④『満州アヘンスクワッド』
1930年代、満州に移住したものの孤児となり、弟妹を抱えて生活も帰国もできない貧困状態となった青年。
彼が見い出した道は、弟妹や他民族の仲間とともにアヘンを栽培、精製し、中国社会で売りさばくことだった。
多くの犠牲者の上に、アヘン商売で競合する日本軍や中国の犯罪組織に狙われながら、成り上がろうとする。
⑤「僕の妻は感情がない」
人らしい生き方を求めて、AIで動く人型ロボットを伴侶とした近未来日本の男性。
彼を奇異の目で見る人々や、支援する人々。
あと、貧困社会文化を描く『地元最高』などもリアルで強烈な問いを突きつけていますね。
映画オタクが作った映画、音楽オタクが作った音楽。ジャンルが成熟してくるとそういう過去作に多大なオマージュを捧げる製作法が増えていきます。(漫画だとジャンプコミックスの叡智を継承している呪術廻戦が典型)
これはこれで好きな方法ですが、漫画黎明期には手塚治虫はディズニー映画に、水木しげるの背景描写はエッシャーの絵画に多大な影響を受けるなど漫画以外にイメージソースを求めることは珍しくありませんでした。
今回推薦させていただいた岡崎京子は下北沢生まれの都会っ子。音楽や映画、ファッションなど様々なサブカルチャーの空気を浴びながらそれを漫画というジャンルに落とし込んでいく手法が鮮やかな方でした。そして本作も有吉佐和子の名作小説「悪女について」と構造は同じで本歌取りと思われます。
映画批評家からキャリアをスタートしたジャンリュックゴダールは今では神格化されていますが、劇中の音楽はぶった切られ使われたり見ようによっては素人芸ですがそれさえも全てセンスの良さに見えてしまい、深読みを喚起してしまう。岡崎漫画もスクリーントーンが雑にズレて貼られていたりします(多分意図的)が、それもカッコよく見えてしまう。そんなスタイリストやDJのようなセンスの良さが際立つ作品です。
NewsPicksがお届けする、最高のマンガ特集。2日目の今日は、大人の人生をものすごく豊かにしてくれる『R30(30歳以上向け)』の傑作集です。何千冊というマンガを読み込んできた、漫画読みの編集者を中心に、そのエッセンスを10作品分抽出しています。
かめはめ波のような必殺技もなければ、悪の帝国もない。あるのは、まったく正解のない「深い問い」たちです。夫婦でいるための条件って何か。異なる種族が、共存できるのか。50歳を過ぎた中年は、仕事への妥協と理想にどうケジメをつけるのか。だれもが、本当の人生で悩み抜くテーマです。
問題は、こういうマンガはさくさく読み飛ばせないこと。だからこそ、この記事を読んでいただきたい。夏休みで時間がある方は、ビールやワインを飲みながら、夜にじっくり読むのがおすすめです!
追記: わたしは一つ目のBEASTERSが激推しです。作家の板垣巴留さんは、あの名作の刃牙を描いた板垣恵介さんの娘さんです。
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