2024/8/13

【傑作10選】大人を揺さぶる『正解のないマンガ』がすごい

ド派手な必殺技も、わかりやすい善悪もない。そこには「正解のない問い」だけがある──。
日本のマンガ作品には、大人だからこそ深く心を揺さぶられる「R30(30歳以上限定)」ともいえる傑作があまたある。
「家族の愛憎」「理想と妥協」「容姿と内面」など、白黒つけようがないテーマを、素晴らしい物語で問いかける。
NewsPicksのマンガ特集取材班は、そんな大人向けマンガ10作品を厳選し、そのエッセンスをお届けする。
INDEX
  • ①絶対的に異なる他者と「共生できるか」
  • ②大切な人の「根本変化」を受容できるか
  • ③母親も「ひとりの不完全な人間」だった
  • ④清廉潔白じゃない、傷だらけの「離婚危機」
  • ⑤人生50年を超えて、さまよう男への「鎮魂歌」
  • ⑥普通すぎる大人が「格好良く生きる」こと
  • ⑦ひたむきな若者を応援する「大人の責任」
  • ⑧誰も知らなかった「本当のワタシ」
  • ⑨「ブス」と「美形」が向き合うルッキズムの呪い
  • ⑩大人が没頭できる「極上サスペンス」

①絶対的に異なる他者と「共生できるか」

「自分とは全く異なる他人と共にどう生きるのか」を深く問いかける、動物ファンタジー漫画です。
「動物たちの学園生活」と聞けばかわいらしい童話を思い浮かべるかもしれませんが、動物には肉食獣と草食獣がいて、肉食獣には「草食獣の肉を食べたい本能」がある。
それでも両者は仲良くできるか?というのが、本作品のテーマです。
作中には、本能を抑えきれずに草食獣を食べてしまい重罪に問われる肉食獣や、非合法に草食獣の肉を売る「裏市」の描写もあります。
このように、肉食獣と草食獣が絶対的に異なる生物であることが強調される中で、「それでも自分は草食獣と仲良くしたい」と願う。
そのために自分には何ができるのかを模索する主人公の奮闘に心を動かされます。