(ブルームバーグ): 鈴木俊一財務相は5日、日経平均株価の急落を受け、日本銀行と連携し、市場動向を注視する考えを示した。同省内で記者団に語った。

鈴木財務相は、先週末から週明けの株価の下落に「強い関心を寄せている」とした上で、内外の経済金融市場の動向について「日銀とも連携をしながら、緊張感を持って注視するとともに、今後の経済財政運営にも万全を期す」と語った。

日本株市場では、日経平均株価が前日比4451円28銭(12%)安の3万1458円42銭で取引を終了し、下げ幅は米国のブラックマンデーを受けて急落した1987年10月20日の(3836円48銭)を上回り、過去最大となった。

株価下落の背景については「一概に申し上げることはできない」としながらも、「政府として冷静に判断していくことが重要だ」と述べるに止めた。

米国景気の先行き懸念に日本の利上げ余波が加わり、リスク資産を回避して「質への逃避(フライ・トゥ・クオリティー)」が加速。債券相場は大幅高となり、長期国債先物は取引を一時中断する「サーキットブレーカー」が発動された。円相場は対ドルで上昇率が3%を超え、一時、1月初旬以来の141円台を付けた。

冷静な判断呼び掛け-新NISA

鈴木財務相は為替動向について、経済のファンダメンタルズを反映して決められるとし、「円の水準は安定的に推移することが望ましい」と指摘。為替相場の動きを注視していきたいと改めて強調した。

株価急落を受けて、新しい少額投資非課税制度(NISA)の導入をきっかけに投資を開始した個人投資家への影響を指摘する声もある。これに対し、「相場の下落等の市場変動が進む中にあっても長期・積み立て・分散投資の重要性を考慮して冷静に判断をしていただきたい」と語った。

景気の先行きについては33年ぶりの高水準を記録した24年春闘の賃上げや史上最高の100兆円超の設備投資など前向きな明るい動きが見られていると述べ、「今後も雇用所得環境が改善する中で緩やかに回復をしていく」との見解を示した。

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--取材協力:今田素直、船曳三郎.

(鈴木財務相の発言を追加して更新します)

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