「戦争引き起こしても構わない」イランのイスラエル報復攻撃 「差し迫っている」米メディア
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しかし、この「戦争」とはどことどこの戦争のことをいうのでしょうか?
イランとイスラエルであれば、すでに限定的ながら交戦は行っています。
イスラエル軍がガザ地区を攻撃するというのは、とっくに起きています。
これまでとは水準の違う戦争、これまでとはまた別の新たな参戦国が加わる「戦争」ということでしょうか?
イスラエルとイランの戦闘が軸になる、ということはこれまでと変わらないでしょう。
最も確実に起きそうなのは、レバノンでの戦闘の拡大です。
レバノンのヒズブッラーは、すでにイスラエルとの戦闘の当事者ですが、レバノンという国全体が巻き込まれる、という意味での本格的な「戦争」です。
次いでイスラエルの周辺国で戦闘が広がりそうなのは、ヨルダンとシリアでしょう。
段違いに世界的な影響が大きくなるのは、サウディアラビアが参戦国になった時でしょう。
基本的には、サウディアラビアは戦争は弱いので、参戦したくありません。
イエメンのフーシー派は、10年以上、低強度ながらサウディアラビアと戦闘を続けています。
イランが、本当にイスラエルと米国に方針の抜本転換を迫るなら、サウディアラビアに甚大な損害を与える、というのは有効な選択肢です。
もう1つ、イラン本土に米軍の攻撃が継続的に行われるようになれば、それは本格的な戦争の拡大です。
「戦争が起きる」といっても、どこの国がどういう規模でやるのかで、話は全然違ってきます。日曜日にヨルダンの外相がイランを訪問し、イスラエルへの報復攻撃を自制するよう促したようですが、それに対してイランは「われわれの行動が戦争を引き起こすことになったとしても構わない」と返答したと米ウォールストリート・ジャーナル紙が伝えています。
イランは、イスラエルとの全面戦争を恐れていないこと、報復攻撃を必ず行うことをを伝えてイスラエルを恐れさせる心理戦を行いつつ、このままではイスラエルもまた報復して戦争のエスカレーションを止められなくなることを示唆して米国やアラブ諸国に対してイスラエルにさらなる報復攻撃を自制するように促しているのでしょう。
ネタニヤフ氏もまた「イランが攻撃してきたら必ず報復する」と述べてイランを牽制しています。
バイデン大統領は先週の電話会談でネタニヤフ首相に対し、「イランからの攻撃の防御のために支援するが」、その後もし報復をするのであればもうこれ以上イスラエルを支援しない、と伝えたと報じられています。
米国はイランによるイスラエルへの報復攻撃を4月と同じように防衛してイスラエルの被害を最小化することに協力することで、イスラエルにさらなる報復を自制することを狙うと思われます。
イランは、今回は米国に詳細な事前通告をしない可能性が高く、また周辺アラブ諸国に対して「イスラエルを助けるな。われわれの攻撃を邪魔するな」と脅す可能性がありますので、4月の時のようにイランの攻撃を防ぐのは難しいのではないかと思います。
イランからの攻撃を受けてイスラエル側に大きな損害が出た場合、イスラエルがさらなる報復攻撃をしない可能性も低いため、報復攻撃のエスカレーションがとめられなくなる危険はあります。
今後、イランがどの程度の攻撃を行い、それを米欧・イスラエルがどの程度防御することができるのか、そしてその攻撃の後、イスラエルのさらなる報復攻撃を防ぐことができるのかどうか。今週は、こちらも「臨戦態勢」で情報を追いかけます。「戦争を起こしても構わない」とは言うものの、実際に戦争を行うとなると、兵員の動員から配備計画まで、膨大な作業量となるので、明日、明後日に実行できるものでもない。そもそもイランとイスラエルは国境を接しているわけでもないので、陸上戦闘にもならない。さらにイラン側は今回の暗殺事件について、総括する時間も必要だろう。となると近々に実行できそうなのはミサイル攻撃か、レバノンのヒズボラを使うことだろう。