【提言】日本の「オーバーツーリズム」はこうして防げる
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ゴミ処理、上下水道、電気、道路、
住民の何百倍もの数の観光客が来るようになると、
これらのインフラも何倍もの規模に拡充しなければならなくなる、というのは道理です。
この記事の北海道美瑛町のように、人口1万人の町に年間239万人の観光客が来るのであれば、当然、1万人分のインフラでは足りません。
インフラ整備だけでも、多額の公金支出が必要になります。
町民のために使われるはずの公金が、観光客用のインフラ整備でなくなってしまいます。
オーバーツーリズムというのは、単に騒音とか渋滞とかいった問題ではなく、公金の問題であり、1つの町の中で得をする人間と損をする人間の格差が急拡大することでもあります。
こういう、インフラ整備が追いつかない(主に資金面で)という問題は世界各地、たとえばバリ島などでも起きていることです。
もともと、日本政府が観光産業を振興してきたのは、地方に産業を与えるためです。
製造業は海外へ出ていってしまったし、農業は儲からない。
それでは他にできる仕事があるかというと、金融やソフトウェア開発は無理だろうから、観光業ならスキルも投資もなくてもすぐに始められるだろう、という発想でした。
しかし、スキルも投資もなくて成長し続ける産業などというものはありません。
一流の観光地を目指すのであれば、なおさらスキルと投資が必要です。
「観光税」「滞在税」といった税金を地方自治体が観光客からとる、というのは、世界各地でとられている対策です。
インフラ整備などの支出を、こういった地方税で補うことができるか、というのは、観光客数の推移など次第でしょう。
あとは、スキルを持った人間をそろえることですが、これは、従来からの住民に今からスキルを身につけてもらう、というのは難しいでしょう。
観光のプロというべき人間を、外から、高い報酬で連れて来るしかありません。
町の職員として数人雇う程度なら、公金でもできるでしょうが、それでは足りないでしょう。
観光のプロ集団の企業を誘致する必要があります。
結局、町のあり方は大きく変わりますが、地域のあり方が変わらずに産業が発展するなどということはありえません。あちこちで起きるオーバーツーリスム。SNSのバズが人気観光スポットを作ってしまったり、その地域住民の生活自体が観光コンテンツ化してしまう現状ではなかなか避けられません。
オーバーツーリズムはキャパ(容量)の問題なので、整備をすれば解消できるものも多いです。使えるお金が増えれば、より幅広い解決策も、そもそも解決策を考える人材の雇用もできます。
地方では財源がないケースが多く、国の補助金依存な地域も多いです。その結果生まれるのがトンチンカンな富裕層向けツアーみたいな商品や、禁止、注意⚠️の無限の看板です。
そもそもそれなりに観光業界に精通した人がオーバーツーリズム対策や地域の観光戦略を、長期的に考える必要があります。2、3年で異動する自治体職員では限界があるのです。
「ドルを稼ぐ」というテーマでインバウンド特集をやってきましたが、私は企業や個人だけでなく、自治体やそれに関連する観光組織(DMO)も「ドルを稼ぐ」べきだと思います。ドルを稼いで優秀な人を雇ったり、長期で考えられる組織をきちんと作りましょう。
特集最後の記事はそんなメッセージです。
追記
宿泊税が普及していない理由はホテル、旅館からの反発が大きい点(徴収代行の費用が出るので、メリットもあります)。
わざわざこうした反発があるものを条例として知事ら首長が主導してやるほどの政治的メリットが、観光客がめちゃくちゃ多いところ以外では現時点ではないということですね。最近インバウンド増えてるので、各自治体が一斉に検討を始めました。
各自治体で検討委員会を作るので、観光系の識者は大変そう。多くの外国人観光客になんとか「自分たちを変えずに」対応しようとしているように見えます。デジタルの世界にアナログで対抗しようとするようなもの。
やり方はいかようにもあると思います。そして、ここ2〜3年の対応が今後10〜30年を決めてしまう可能性もあるのではないでしょうか。