日銀会合注目点:追加利上げと国債購入の減額計画、同時決定あるか
AI要約
- 1日本銀行は31日に金融政策決定会合を控え、国債買い入れの減額と追加利上げの可能性に市場が注目しているとのこと
- 2エコノミストの調査によれば、約29%が今会合での追加利上げを予想しており、日米の金融政策が為替市場に影響を与える見込み
- 3日銀は国債買い入れを6兆円から5兆円に減額し、2年後には3兆円に圧縮する計画を中心に考えているとのこと
コメント
注目のコメント
新総裁になってからの日銀は、金融政策決定会合に先立つ時期にかなりの情報を流して市場に織り込ませるのが常だったと感じています。ところが今回は、国債買い入れの減額計画をそれなりの形で示すという趣旨の発信を前回の会合直後にしてから今に至るまでさしたる情報が聞こえてこないので、おそらくはかなり悩ましい判断を迫られているのでしょう。そんな中、予測しても詮無いことではありますが・・・
足元で企業物価が再び上昇を始め、じわじわ上がり続けた企業向けサービスコストと共に2%を大きく超える状態が続いています。幾分円高に転じたとはいえ極端な円安も続いており、政府は巨額の補助金を注ぎ込んで消費者物価の上昇率を低く見せるのに躍起です。需要不足が再び喧伝され出した感がありますが我が国は強烈な人手不足状態で、本来なら国債購入量を相当程度減らして長期金利の上昇を容認し、政策金利も引き上げて然るべきところであるように思います。
しかし、日本経済の背後には①1200兆円にのぼる借金を抱えた政府、②600兆円に迫る低利国債を抱え込んだ日銀、③マイナス金利とカネ余りに耐え切れず長期債を大量に抱えた地銀等、④バブル的に上がったマンションを変動金利住宅ローンで買った家計、⑤長期運転資金を低利の短期借入を転がして賄う企業、⑥円安を背景に利益を膨らませた企業と株価の存在、といった利上げに耐えられない構図が潜んでいます。長く続けた財政拡張と異次元緩和の組み合わせが生んだ歪です。しかも政府は今年の骨太の方針に「賃金と物価の好循環を確認しつつ、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する」と書くなど、金融緩和をやめないように圧力を掛けている。実質賃金が下がり続けるなかで金利が上がってこうした灰色のサイが暴れ出したら、その責任が利上げした、あるいは長期金利の上昇を容認した日銀に押し付けられるのは必定です、たぶん。
さて日銀はどうするか。 (・・;個人消費が低迷する中、利上げは無理との考えが根強いですが、その根本にあるのは、低すぎる政策金利が歴史的円安、輸入インフレ、実質賃金の前年割れを通じて購買力を削いでいるとの因果関係です。従って、本来であれば利上げを開始している時期に差し掛かっているか、既にそれを過ぎています。しかも実質金利(=金利からインフレ率を引いたもの)がマイナス圏にとどまる限り、利上げしてもまだ金融緩和状態ですから、利上げがあっても不思議ではありません。しかし、今回は以下4点の理由から見送られると予想します。①国債買い入れ減額の影響を見極める必要がある(利上げをすると長期金利が上昇した場合、それが買い入れ減額と利上げのどちらの影響か判断しづらくなる)、②政府が警戒する円安が一服している、③株安など相場が大荒れとなった直後である、➃市場が利上げを織り込み切れていない、です。特に、➃について、就任当初、市場との対話重視を掲げた植田総裁だけに、サプライズとならない様、事前に市場に刷り込ませるだけのコミュニケーションを取るハズでしたが、それがありませんでした。この為、もし利上げがあれば、市場は150円割れの円高と株安で反応するとみられます。