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女性特有疾患の早期発見へ:検診の重要性とフェムテック製品

女性特有疾患の早期発見へ:検診の重要性とフェムテック製品

全体に公開
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木村 恵
フェムテックや健康経営の社会情勢やビジネスモデル木村 恵

女性のキャリアや働き方を考えるうえで、健康管理は重要な要素であり、今年の『男女共同参画白書』の特集テーマも、「仕事と健康の両立〜すべての人が希望に応じて活躍できる社会の実現に向けて」となっている。

「女性特有の疾患」の理解と対策は、職場での支援策を整えるためにも不可欠だが、今回は「女性特有疾患」の知識を深めるとともに、働く女性が求める「職場での健康支援」について探ってみた。

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1. 女性特有疾患の現状

女性は、生涯を通じて女性ホルモンにさらされ続けるため、男性とは異なる健康リスクを抱えている。子宮筋腫や乳がん、子宮頸がん、子宮内膜症、卵巣がんなどがその代表例だが、これらの疾患は、適切な検診と早期発見が重要である。

しかし、日本では「がん検診」の受診率が諸外国に比べて低いのが現状だ。女性の健康とメノポーズ協会の調査によると、働く女性が職場で望む健康支援策で、最も多く挙げられるのは「職場検診に女性検診を含めること」である。

さらに、現代の女性は、生涯における月経回数が増加しており、それにともない子宮内膜症や乳がん、卵巣がんのリスクも高まっている。昔の女性が生涯で約50回の月経を経験したのに対し、現代女性は約450回に増加している。

では、具体的にどのような女性特有疾患があるのだろうか。

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2. 主な女性特有疾患

・子宮筋腫

成人女性の4人に1人が罹患し、月経量の増加や月経痛、不妊などの症状が見られる。治療法としては薬物療法や手術療法がある。

・乳がん

日本人女性の9人に1人が罹患する病気で、40歳代後半に罹患率がピークを迎える。自己検診やマンモグラフィ検診、超音波検査が推奨されている。治療法としては手術療法、放射線療法、薬物療法がある。

・子宮頸がん

ヒトパピローマウイルス(HPV)がほとんどの原因で、20歳以上の女性は2年に1度の検診が推奨されている。治療法としては手術療法、放射線療法、化学療法がある。

・子宮内膜症

子宮内膜に似た組織が子宮外にできる疾患で、30歳~34歳にピークを迎える。治療法としては薬物療法や手術療法がある。

・卵巣がん

初期症状が少なく早期発見が難しいため、定期的な検診が重要である。治療法としては手術療法と化学療法の組み合わせが基本となっている。

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3. フェムテックの登場

海外では、女性特有疾患の予防におけるフェムテック製品が注目を集めている。その一部を紹介する。

・🇰🇷Lunit(乳がんAI解析)

2022年7月に、KOSDAQ(コスダック)市場に上場し、がんの診断・治療向けのAI活用ソリューションを開発している。

同社は、アメリカホワイトハウスのCancerXイニシアチブの初回プロジェクトに参画し、がん検診、診断、治療、サバイバーシップ・ケアにおける革新的なソリューションを紹介している。 

乳がんのAI解析製品である『Lunit INSIGHT MMG (マンモグラフィ)』は、FDA(米食品医薬品局)とCEマーク(欧州の法律に適合していることを宣言した証)を取得。世界40カ国以上の病院や医療機関で臨床使用されている 

・ 🇮🇱Mobile ODT(子宮頸がんスクリーニング)

子宮頸がん検診のための医療機器技術を開発する、イスラエルのAIベースのヘルステック企業。AIを活用し臨床現場で子宮頸がんのスクリーニング検査ができるデバイス『Enhanced Visual Assessment (EVA)システム』を開発している。

インターネット接続型モバイルコルポスコープで、FDA認可済みである。EVAシステムの携帯型デジタルコルポスコープは30カ国以上で販売され、米国、アフリカ全域、インドなどで急速にシェアを伸ばし、グローバルで積極的に展開している。

診察後、60秒以内に、医療専門家による診察と同等の精度の診察を提供できる。医療従事者であればどこでも、専門家レベルの遠隔検査ができる。

・🇰🇷Aidot(子宮頸がん検知ソフトウェア)

ポータブルの膣鏡およびAIを活用し、遠隔で診断できる子宮頸がん検知ソフトウェア「Cerviray AI」を開発。自社開発アルゴリズムを採用し、インフラ整備を必要としない子宮頸がん検査のためのAIスクリーニングシステムを開発。

短期間で有効な子宮頸がんのスクリーニング率を高め、死亡率を低下させることが期待できる。往診の際には、ポータブルの膣鏡を持参し、自宅で診断することができ、患者は病院もしくは遠隔で受診ができる。

4. 日本の女性特有疾患の課題

日本の女性特有疾患に関する課題は、職場検診での女性検診がオプションとなっていることや、未病や予防に対する意識が低いことが挙げられる。特に、女性特有のリスクを知らずに検診を受けないケースが多くあるのではないだろうか。

また、「病気になることを想像したくない」という心理的な部分も大きい。筆者は、保険業界に長く勤務しているが、保険に加入するお客さまも「できれば何かあったときのことは考えたくない」という方もいると感じている。

しかし、女性特有の疾患に対する理解を深め、適切な検診や早期発見を促進することは、働く女性のキャリア支援にも直結する。職場での健康支援策を整えることで、女性が安心して働ける環境を作り出すことができる。

身近な女性の健康を考えるきっかけとして、この記事を活用していただければ幸いです。

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5.【対談レポート発行】「東京ウェルネスインパクトファンド」のインパクトレポート

女性のウェルネスについて対談した「東京ウェルネスインパクトファンド」のインパクトレポートが発行されました。

女性のウェルネスの中でも、更年期の課題について語っています。女性ヘルスケアのビジネスを検討されている方は、女性のウェルネス課題デザインマップは必見です。ぜひご覧ください。

【東京ウェルネスインパクトファンド2023 インパクトレポート】

・ダウンロードURL:https://x.gd/23Xjb

・掲載ページURL:https://capitalmedicaventures.com/report

・プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000109457.html

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000109457.html

6.筆者紹介

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「女性ヘルスケア×イノベーション」のプロ。生保で健康増進型の企画、損保で大規模システム開発のプロジェクトマネジメントに従事。Femtech Community Japan理事、NewsPicksフェムテックトピックスのオーナー、スタートアップ顧問を兼任。フェムテック専門家として、起業家支援や大企業の新規事業相談に応じている。社会情勢や海外ビジネスモデルに関する考察をメディア等で多数発信。経営学修士(MBA)
・トップ画像:GettyImages
・参考:女性の健康と働き方マニュアル(女性の健康とメノポーズ協会)


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コメント


注目のコメント

  • 木村 恵
    (一社)Femtech Community Japan 理事

    経済産業省の調査によると、女性特有の婦人科がん(乳がん・子宮がん・卵巣がん)による経済損失額は、年間約6,000億円と言われています。
    そのうち、休職による損失総額は約3,000億円ですが、働いているとなかなか検診に行く機会もなかったり、会社の健康診断で女性特有疾患はオプションだったりします。
    そこで今回は、日本の女性特有疾患の課題について考えてみました。

    (参考)経済産業省 女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性んについて
    https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/jyosei_keizaisonshitsu.pdf


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