エミー賞受賞ドラマ「SHOGUN 将軍」は、なぜハリウッドで高い評価を得たのか
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これはハリウッド的手法と時代劇のコラボレーションですが、コラボ作品は基本は混ぜるな危険で多くの場合実際には大変陳腐なものになります。
それを素晴らしい作品にするのは目利きの力のあるプロデューサーが細かい細部を妥協なく調整していけるかどうかにかかっています。これが成功すると、ブレンドの具合がうまく行く。そしてこの作業は本当に細部に神様が宿る作業でもあります。
カクテルだと思えばわかりやすい。すごく単純な混ぜ物と違って、映像作品や舞台作品はたくさんの材料を混ぜなくてはいけないので、この要素を強めるならこうしないと、という影響範囲が非常に大きく、常に全体を考えながら差配していく必要があるのです。
世界でうける為のハリウッド的ケレン味を活かしつつオーセンティックな日本の時代劇を追求することが出来たのは、プロデューサーに目利きの力のあった真田氏がいたからに他ならないですし、彼を中心に屋台骨を作ることにした制作トップの力に他ならないでしょう。(予算が潤沢だったことも大切な要素ですが副次的です。)そしてもう一つ大切なのは日本の時代劇のスタッフには専門家がたくさんいて、何が本格的か適切な対応ができる体制があったことです。それがなければ発想を形にすることが出来ません。
それが、真田氏のあいさつでの「時代劇を継承して来てくださったすべての方に御礼申し上げます。」というセリフを生んだのだと確信します。
翻って日本の行政を見ると、ことに文化系の助成には新味を出す為のコラボレーションを要求するものが大変多くなっています。「現代の要素を取り入れた能」とか「デジタル技術を使ったクラシック」とかが要求されるわけです。しかし実際にはコラボレーションは目利き次第で、目利き力を判断することは行政には不可能ですから、センセーショナルな売り込みの形だけ整った陳腐な作品が量産されていく。
それよりも、コラボレーションを行うために必要な屋台骨である一つ一つの要素こそが技術を磨く必要があり、サポートがないと途絶えてしまうかもしれないものなのです。そういった技術を真摯に磨くよい現場に適切な助成が届くといいなと思う次第です。ほんの一部ある育成系の助成は、非効率な事業が固定化してしまって既得権益化してしまっているし。ここにも目利き力がある人がしっかり出てきて細かいところまで目配りできたら良いのかもですけれど。作品賞、監督賞、主演男優・女優賞を含む史上最多の18冠。日本人受賞9人。快挙。
制作は米テレビFX、配信はディズニーというハリウッドものでありながら、真田広之さんを真ん中に据える本物志向だった点が、宮本茂さんを軸にしたハリウッドのマリオ映画の成功にダブります。
サムライがジャポニズムを脱し、日本語でもOKなほどアメリカの視聴者が受容力を高めたことが背景では。今後ますます日本がらみ作品にチャンスが増えそう。やはり素晴らしい作品だったよね、過去の作品と比べてもクオリティーが高いしキャスティングもいい、どうしても小ぢんまりしてしまうところも地形的な見せ方でカバーしてる、日本人からすれば少し極端に感じる部分も脚本や演技で従来の時代劇を感じさせる一方で美しさを際立たせることで新たな境地と感じさせもする、、とにかく国境や民族、人種を越えて誰しもが観たいサムライと新たなサムライを伝えたことが意義として大きいと思う。
個人的には地味なところかも知れないが江戸で遊郭の地を与えその土地を確認しているシーン、あの江戸の湿地・浅瀬の土地をしっかりと見せたこと、その土地を戴いたことを実感しているところが凄くリアリティを感じた、普通に考えたらあの土地は直ぐに使えないのは明白なのに、、あの当時をよく現していると感じた。