セルフレジで客が減る? 欧米で「セルフレジ撤去」の動き、日本はどう捉えるべきか
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都心にある日本のスーパーでも、セルフレジはかなり浸透しています。
そのような中、欧米で進むセルフレジ撤去の動きは、一見すると人手不足の解決策にも見えた取組みが、顧客体験を軽視すれば顧客離れを招きかねないという警鐘でもあるのでしょう。
日本のスーパーは顧客との距離の近さが強みなので、やはり全てをセルフにするのではなく、セルフレジと有人レジの併設や、デジタルとアナログを融合した顧客体験の提供などがポイントになるということでしょうか。
顧客満足度を上げ、他店との差別化を図るために何をすべきか。どの業界でも知恵を絞らないといけないテーマです。アメリカ、イギリスを経て、今も欧州(オランダ)に住んでいますが、セルフレジが減っている大きな理由は「万引き」です。買い物客が全ての商品をスキャンしないことが、売り上げ減や不正確な在庫情報に繋がっています。(所得の低い地域で顕著なようです)
結果的にセルフチェクアウトにも従業員を配置して監視することになり、従業員の数の削減(コスト減)になっていないという状況となっています。
https://www.nbcnews.com/business/business-news/major-retailers-are-backtracking-self-checkout-rcna160234
https://nltimes.nl/2024/01/29/young-people-low-income-earners-likely-steal-self-checkout■人手不足でセルフレジ導入が進む日本においても、興味深い現象です。
記事で触れられていない論点としては、
①客足の「逃げる先」があるかどうかです。
アメリカの消費者の価格弾力性が日本よりも高いのは、国土が広く、周辺に代わりの小売店が無いことによって値上げしても買わざるをえないことが一因。
日本はその逆で、国土が狭いうえに小売店がひしめき合っています。
それと同じことがセルフレジでも言えるのかどうか。
セルフレジのお店で「買うことそのものをあきらめている」のか、「他店に行っているのか」は決定的に違う現象です。
②高齢化の影響
売り上げが下がる要因はたくさんありますが、顧客の年齢、つまり高齢化と相関があるかどうかはまず明らかにしたい仮説です。高齢者のほうがセルフレジの操作は一般的に苦手です。データはあるでしょうし。
■より深い分析としてできるのは、セルフレジでも「下がり幅」に注目し、他の媒介変数は何かを突き止めることです。
【例えば】顧客が高齢化している地域ではセルフレジで売り上げが下がりやすい、日中時間帯が下がりやすい、競合店が近くに多いほど下がりやすい、などのファクトが見つかれば、日本のみならず大変参考になります。
逆に言えば、このセルフレジで平均〇%低下くらいの分析でできるのは、リテールセントリックかユーザーセントリックのようなスローガンレベルの議論であり、実務に使えるような知見はほとんどわかりません。