グーグルとマイクロソフト、中国企業にエヌビディア製半導体へのアクセス提供=報道
AI要約
- 1米アルファベット傘下のグーグルおよびマイクロソフトのクラウド部門は、中国企業に対し、米半導体大手エヌビディアの人工知能向け半導体へのアクセスを提供している
- 2マイクロソフトは中国国外のデータセンターを通じて、中国の顧客企業に対し、エヌビディアの最先端半導体を含むサーバーのレンタルサービスを提供
- 3グーグルも中国の顧客企業に対し中国の本土外に設置されたサーバーの使用を認めており、サービスが米国の輸出規制を順守しているという
コメント
注目のコメント
グーグルおよびマイクロソフトが中国企業に対し、中国本土外に設置されたサーバーに搭載したエヌビディアの最先端AI半導体を使用するサービスを提供しているとの記事です。
この記事から2つの言葉を思いつきました。
1つは「上有政策,下有対策」という中国で頻繁に使われる言葉です。
たとえ規制がかかってもどこかに抜け道がある、という考え方で、諦めない意思、クリエイティブさ、狡猾さを惹起するために使われることが多いです。
今回の件はまさに中国国内での最先端AI半導体使用ができないのであれば国外への使用へと迂回した「下有対策」のケースだと見えます。
もう1つの言葉は「Small Yard, High Fence」という米国による技術規制を表現したものです。
コアとなる技術を厳しくブロックすることで、それ以外のところを自由にしていても技術的脅威にはならないという考え方です。
しかし、この考え方は現在の最先端技術のエコシステムの複雑性に対応できておらず、結果としてSmall Yard以外からの抜け道が多く発生し、年々このSmallの部分が拡大しているという傾向、すなわち米国による規制範囲が拡大しています。
昨年、Huaweiのスマートフォンに米国の技術規制対象(10nm未満)である7nmのプロセッサが搭載され世界を驚かせましたが、Small Yardの規制だけでは機能しないということが証明された事例でもあります。
今回のケースでは、グーグルもマイクロソフトも規制上は問題無いという見解を示しているようで、現時点ではそこは問題にはならないかもしれませんが、今後、米国がどのように対応していくのか、またそれに対して中国あるいは中国政府が対応していくのか、興味深い展開が続くでしょう。中国企業が海外のデータセンターを使ってAIをトレーニングしているという話は以前から噂されてきました。また、米政府がそれを禁止することを検討中とも報じられていましたが、ここまで規制対象となっていません。データセンターを利用するだけならば脅威は少ないという判断なのか、ビッグテックの売上が減るのはまかりならんということなのかはわかりませんが。
「アルファベットとマイクロソフトは、中国の企業に対して米国外のデータセンターからNVIDIAのAI用半導体「A100」と「H100」へのアクセスを提供しています。これは、米国の輸出規制を遵守して行われていると両社は主張」
ふかぼります。現在、米国商務省の産業安全保障局(BIS)は「輸出管理規則(Export Administration Regulations, EAR)」で高度な人工知能(AI)チップの管理強化として、管理対象AIチップの範囲拡大(ECCN 3A090.aの改訂、新管理基準ECCN 3A090.bの導入)の章で、特にH100やA100といった高性能なGPUの輸出制限を行っています。
にも関わらず、そのリソースをクラウド上では提供できるというのは、言い訳としてかなり苦しいので、早晩禁止の方向に向かいそう。