【解説】上場相次ぐ宇宙企業。早期の黒字化見通しも
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スペースXは未上場企業である、そして売上高が既に兆円単位ある。ど真ん中で世界のフロントランナーである故。
ーSPACという仕組みの問題点が露呈したことで、SPAC上場した宇宙企業の株価も低迷しているというー
これは間違い。仕組みの問題ではない。単なるバブルだった、という話。SPACは昔からある手法でバブルになると多用され弾けるとなくなるだけの話で、本質的には赤字ハイパーグロース株式の低迷でありSPAC銘柄以外も赤字テックはみなダメなのである。
つまり米国市場では、コロナバブル期に宇宙関連含め多数の赤字テック企業が高値で上場し、今はそれら株式は7割前後の企業価値が剥げ落ち、同様のIPOはそれ自体が出来なくなっている。
日本がそうなっていないのはマクロ環境が異なるから、インフレが諸外国では唯一起きず、したがって株価は上げこそすれ大して下がらず、IPOもあまり低迷せず、したがってスタートアップ資金調達もほとんど低迷していないから。
これは諸外国では真逆。
その点が話の本質。宇宙スタートアップのIPOに関わるステークホルダーに片っ端から取材して、宇宙株の成長性とリスクについて聞きました。
ベンチャーキャピタリストの小松氏の話で印象的だったのは、「日本は失敗に対して懲罰的な態度で臨む風潮が強い」という話でした。
あらゆる成功は失敗の上に成り立っている。失敗しないということはチャレンジしないのと同じ。大事なのは失敗の質を吟味すること。
社会の成長につながる失敗なら「貴重な情報を獲得した」「一歩前進」とみなす発想の転換が必要だという意見はその通りだなと思いました。
もちろん投資に関しては、個人投資家は自らのリスク許容度と熟練度を考慮して検討すべきです。安定したリターンを期待する人は宇宙スタートアップは避けたほうがよいかもしれませんね。宇宙開発ではなく宇宙産業ができるかが問われています。スペースXは基礎となる打ち上げで革命的な手法で民間でしかできない基盤を確立し、産業の基盤となりそれが大規模な受注や売上につながり、圧倒的なスピードでの研究開発を支えている。
エコシステムの課題もあるが、宇宙産業として本格的なリターンをスタートアップ側が創出できるか否か。どうしても時間がかかるが、スペースXも同様の課題はある。それを圧倒的な工夫と技術を駆使して、あたかもインターネット産業かのように大規模ハードウェア開発、プロセス管理をやりきり、他にないスピードを獲得していることがこの成長と評価額に繋がっている。
逆に言えば、他大多数の宇宙などハードウェア系スタートアップはスピードが上がりきっていない。宇宙は元々圧倒的に時間がかかる産業だからこそ、スピード感を持って結果をデリバーしきれず、それが投資家が投資しずらい要因にもなっている。資金調達の難しさは正にそこにある。
そういう速度で開発と成長を両軸で実現できるスタートアップが出てくれば、上場タイミングはスペースXのように先に伸ばせるだろうし、そういうスタートアップが増えてくれば、ディープテックのレイテステージのリスクマネー提供をする投資家が増えてくるはず。上場はすべき時まで待てるようになる。鶏と卵だが、現にスペースXが存在する以上、本質的には鶏が先。
緩やかにしか開発や成長ができない大規模資金を必要とするスタートアップばかりであれば、政府が目指す五カ年計画10兆円の行き場としてはリスクが高すぎ、結果お金は行き場を失い、全体のリターンが下がる。
スタートアップの本質は「スピードと圧倒的な成長」。そうでなければスタートアップではない。
国家が担っていた宇宙開発を、民間で宇宙産業とするためには、スピードは不可欠。過去の大企業の宇宙事業も国家の宇宙開発に紐づいたもの。だから、スピードが信条のスタートアップのフォーマットが期待の星。