【要注意】社員は薄給、会長は4億円。「裸の王様」企業の現実
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フクダ電子は、デービッド・アトキンソンさんがよく指摘されている創業家の「ライフスタイルカンパニー」になってしまっている例ですね(アトキンソンさんは主に非上場の中小オーナー企業のことを指していますが)。
つまり、社長のプライベートが大事で、会社はそれに利用される器になっている状態。ま、業績は伸びているので、厳密に言えばちょっと違いますが、従業員がどんどん辞めてしまっている惨状があるようです。いずれにしても、株価は強烈にディスカウントされています。
先進国で唯一上場企業の数が増え続けているのは日本だけという事実が物語っているとおり、「上場している意味あるんだっけ?」という同社のような会社がたくさんあります。
ところで、話は少し変わるんですが、昨日までソウルで開催されていたESG投資のカンファレンスに参加していました。
上場企業なのに創業家が大株主となっているオーナー系企業ばかりという事情はお隣の韓国も同じかそれ以上。そのため、ESGのG(コーポレートガバナンス)がダメダメで「韓国ディスカウント」という言葉があるくらい株式市場では過小評価されるのが代名詞のように。ROE/PBRの低さも日本の比ではありません。
ESGが脚光を浴びるとそれじゃいかん!ということで、日本のガバナンス改革、市場改革、2014年からのROE祭り、去年からのPBR1倍割れ何とかしなさい騒動、その後の日経平均最高値更新という成果が出るまでの動きを韓国を代表するシンクタンクが徹底的に調べ上げていたプレゼンがとても興味深かったです。
漢江の奇跡じゃありませんが、動き出したらめちゃ速い韓国のこと、急速にキャッチアップするのではないでしょうか。
ちなみに、Asia Corporate Governance Associationの調査によると、日本のアジアパシフィック地域におけるコーポレートガバナンスのスコアは、2018年に8位だったものの、2023年はオーストラリアに次ぐ2位にまで上げています。韓国は8位。物言う株主のいうことが、すべて会社のためになるとも限りません。ですが、オーナー企業の老舗医療機器メーカー「フクダ電子」のガバナンスは危ういと言わざるを得ないでしょう。変われないオーナー企業はいまだにたくさんあるのだと思わされます。株主の圧力で会社はどこまで変われるのか。物言う株主との対決は、大企業にスポットライトの当たることが多いですが、中堅中小の上場企業が抱える問題もこれまたかなり根深そうです。
今回のシリーズの中で一番面白い記事でした。
私からすると、フクダ電子は、福田氏がどうしたいのか、ご自身でもあまり良くわかっていないという中での行動という感じもして、そこに対してアクティビストが一つの方向性を文字通り「提案している」という感じがします。(あくまでも仮説です。)
もっと対話が深まれば、会社に対しても、福田氏に対してもよい支援になる可能性を感じる内容でした。
これは他の事案についても同様の構図が見えます。
ここで大事なのは、外部からは「なぜそんな馬鹿なことをやっているのか」と見える企業の行動も、その企業の側からすると、先に挙げた仮説のように「わからないからそうしている」ということも含め、一定の理由はある、ということではないかと思います。
これを資本の力で「正す・糾す」というのは、あまり良いやり方と思いませんが、資本の力「も」使いながら、ケアしていくという存在になることができれば、企業変革という観点からも非常に大きな意義を持ちうるのではないかと思います。
より長い時系列でのアクティビストと企業との良好な関係事例における取り組みを知りたいと思いました。