(ブルームバーグ): 米半導体大手エヌビディアの株価は24日の取引で下落し、調整局面に入った。ここ数日の売りにより、歴史的規模の時価総額が消し去られた。
同社株価は6.7%安で取引を終え、3営業日続落となった。単日の終値ベースの下落率としては4月以来の大きさ。過去3営業日の下げで、エヌビディアの時価総額は約4300億ドル(約68兆6300億円)が消失した。ブルームバーグの集計データによれば、1企業の3日間の消失額としては過去最大。
3日間の下落率は13%で、調整局面入りの目安である10%を超えた。これが半導体銘柄全般への重しとなり、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は24日に3%下げた。
個別銘柄ではブロードコムが4%安、クアルコムが5.5%安、アーム・ホールディングスが5.8%安となったほか、台湾積体電路製造(TSMC)の米国預託証券(ADR)は3.5%安となった。
エヌビディアの時価総額は3兆ドルの大台を割り込み、マイクロソフトとアップルを下回った。エヌビディアは先週、時価総額で一時世界首位に浮上していた。
オールスプリング・グローバル・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、ネビル・ジャベリ氏は「短期的には、投資家が人工知能(AI)疲れに見舞われ始めたり、上昇銘柄が一部に集中し過ぎていることへの懸念を強めたりする可能性が十分ある」と述べた。
エヌビディア株は年初来ではなお約140%上昇しており、値上がり率はS&P500種株価指数の構成銘柄で2位となっている。1位は同じくAI関連銘柄として人気が高いスーパー・マイクロ・コンピューター。
AI関連のデータ処理に使われるエヌビディア製チップへの極めて旺盛な需要を踏まえ、投資家は同社株に殺到しているが、急激な株価上昇はバリュエーションを巡る懸念を浮き彫りにした。向こう1年の売上高見通しに基づく株価売上高倍率(PSR)は21倍と、S&P500種株価指数構成銘柄で最も割高となっている。
ただ、ウォール街ではエヌビディア株が引き続き大いに選好されており、ブルームバーグが追跡するアナリストの90%近くが買いを推奨し、アナリストの目標株価は平均で現行水準から約12%上昇を示す形となっている。
カタリスト・ファンズのポートフォリオマネジャー、チャーリー・アシュリー氏は「エヌビディアおよびAI銘柄全般のモメンタムは圧倒的だ」とし、「投資について言えば、現時点で逆張りになるつもりはない」と語った。
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原題:Nvidia Enters Correction Territory as Slump Erases $430 Billion(抜粋)
(背景などを追加して更新します)
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