【舛添要一】都民が選ぶべきリーダーの「資質」を語ろう
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「私は小池さんや蓮舫さんが東京、ひいては日本全体をどうしていきたいと考えているのかという政策論を読んだことがありません」
↑ 立候補者であれば、国なら国、都なら都のグランドデザインを示すべき、というのは正論ではあります。
米国やフランスの大統領選挙や、英国の下院選挙では、そういうグランドデザインを示す能力は必須といえるでしょう。
それでは、日本の選挙ではグランドデザインを示さないと当選できないかというと、そんなことは全くありません。
舛添氏は、国政の大臣と東京都知事の経験にもとづいて、そのあたりを具体例でわかりやすく語られています。
グランドデザインを示したところで、「そんなものを示されても困る」というのが、大多数の議員、役人、有権者の反応です。
新しいグランドデザインを示されるというのは、それまでのルーティンワークに変更を求められる、ということだからです。
これは、日本人が怠け者ということではなく、ひたすら勤勉にルーティンワークを繰り返したいだけの人が大多数である、ということです。
利権を侵害されるから抵抗する、という人もいるでしょうが、それ以上に、自分の知っているルーティンワークが変わって新しいことを強いられるのがたまらなく嫌だ、という人が多いでしょう。
これは、日本に民主主義が根づいているのか、という問題でもありますが、それ以前に、もっと根深い問題として、日本は民主主義が根づきうる社会なのか、という問題がまずあります。
トップがグランドデザインを示してそれに基づいて国や組織をつくっていく、ということでは、民主主義であろうがなかろうが、米国やフランスはもちろん、ロシアや中国の方が、日本よりもはるかに実践されています。
社会の方が何であれグランドデザインを受けつけないのであれば、結局、選挙は知名度の勝負か組織力の勝負になります。選挙カーがひたすら候補者の名前を連呼して走り回るゆえんです。
別に日本がそれほど特殊ということはなく、ベトナムとかスリランカとかヨルダンとか、アジアの中規模国ではこれといったグランドデザインを持たない、というのはよくあり、世界史有数の文明を持たなかった地域であれば、よくあることです。
中央省庁のキャリア官僚と自民党の政策調査会だけはグランドデザインを議論しえた、という点で、日本はこの位置の国としては幸運でした。都知事経験者であり、同時に、国政や国際政治にも通じている方の有意義なインタビューと思います。
いくつか興味深い箇所を引用させていただきます。
●政治家は本来、きちんとした政策論を「書く」べきなのです。・・・その意味で、私は小池さんや蓮舫さんが東京、ひいては日本全体をどうしていきたいと考えているのかという政策論を読んだことがありません。
●他にも、防災に関する議論がおろそかになっていると感じています。・・・ペットを一匹も殺さないのももちろん大切なのですが、250万人の東京都民の安全を保証すべく動くのも、大切ではないでしょうか。
●有権者の皆さんには、たまには本など大手メディア以外の媒体にも積極的に触れてほしい。中長期的視点から、ぜひこの選挙戦を見てほしいと願っています。
本を読んだりしながら、マスメディアによる報道から少し距離をとりつつ、自分なりに選挙の捉え方を整理することの大事さに気づかされるインタビューです。