マクロン仏大統領が賭けに出た選挙、ブレグジットの悪夢再来リスク
AI要約
- 1マクロン大統領による国民議会解散・総選挙の決定が欧州当局者にフラッシュバックさせている
- 2マクロン大統領と英国のキャメロン元首相の決断に類似点が指摘されている
- 3フランスの危機がユーロ圏に直撃し、金融市場にも影響が及んでいる
コメント
注目のコメント
これは、国民連合に選挙で負けそうになっているマクロン派が、
「国民連合が勝つと大変なことになる」(だから国民連合に投票するな)と言い立てている、という話ですね。
国民連合はEUの強化には反対ですが、フランスのEU離脱は主張していないし、今回の公約でも全く出てきません。
公約からいえば、左派の「不服従のフランス」の方がNATO脱退とウクライナ支援停止を唱えているので、仮に実現したら大変ですね。仏総選挙を欧州全体の動きの中に位置付ける、以下の記事が参考になります。
「【舛添直言】「解散総選挙」の大勝負に出たマクロン、それでも極右の勢いはとまらない」6月15日
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/81544
ポイントを引用します。
●何がこのような結果をもたらしたのであろうか。まずはウクライナ戦争の影響である。物価は上昇し、人々の生活は苦しくなった。それだけに、ウクライナのことよりも自国が大事だという意識が高まっている。また、治安の悪化など、移民に対する不満も高じており、過剰な気候変動対策が自分たちの生活を脅かすという思いを強めている。このような国民の不安に応えるべく、極右ポピュリスト勢力は、移民、環境保護、EV推進、LGBTに反対し、ウクライナ支援にも消極的である。そして、EUそのものに対して批判的で、EUの課す規制に反対している。
●フランスでは、極右の国民連合(RN)が31.4%の票を獲得し、マクロン大統領の与党連合14.6%の倍以上となった。極右の作家、エリック・ゼムールが率いる右翼政党「再征服」の票も合わせると、約4割が極右票ということになる。この結果に、フランスでは大きな衝撃が走り、マクロン大統領は、国民議会を解散する決定を下した。6月30日が第1回投票、7月7日が決選投票である。この突然の解散決定に、フランスの株価は大きく下落した。
背景には欧州全体におけるウクライナ問題、移民問題、環境規制などがあり、仏において約4割の有権者が支持している政策方針は、もはや「極右」では無く、多数が支持する民主的アジェンダであると言ってもよいでしょう。(逆に一部メディアが左傾化し過ぎています。)
今後の見通しは、以下が参考になります。
●首相輩出後に極右政党が狙うのは、あくまでマクロン大統領が退任する2027年の大統領選挙での勝利だ(フランスの大統領は三選禁止)。その間の政権運営に失敗すれば、大統領の座を奪取する可能性が遠退く。イタリアのメローニ首相に倣って、EUとの全面衝突を避け、公約の部分実現にとどめ、現実主義的な政権運営を行う可能性が高いとみる。
第一生命経済研究所「マクロン大統領の勝算はいかに」6月12日
https://www.dlri.co.jp/report/macro/340679.htmlブレグジットの再来になるかは分かりません。ただ、一つ言えることは、マクロンの時代は終わったということでしょう。
この不安定な中でパリ五輪、中々パンチがある展開です。