クリエイティブ思考の邪魔16リスト

「クリエイティブ思考」の邪魔16リスト#14

自分の強みを知らないままではいけません

2015/6/8

「あなたの強みは?」と質問されて即答できずに悩んでいる人は意外に多いものです。従業員に「最も得意な仕事を毎日しているか」という質問をしたところ、平均で23%しか、自分の強みを毎日発揮できていると感じていません。

国別だと、高い順からインド36%、米国32%、カナダ30%、そして日本においてはわずか15%。つまり、日本人の85%の人は、明確な自分の強みを発揮せず、日々の業務に取り組んでいるということです。

自分の強みを発揮していないのならば、ひょっとすると自分がまったく信用していない製品やサービスをお客さまへ提供しているかもしれません。

なぜなら、明確な自分の強みを把握し、それらを積極的に活用している人と、そうでない人とでは、仕事への自信と熱中度が大きく違うからです。

上の表では、自分の明確な強みを把握していない人は、仕事への自信と熱中度はわずか9%、一方、自分の明確な強みを把握し、それらを積極的に活用している人は、仕事への自信と熱中度は73%です。

「なぜ、強みを明確にすることに注力するのか」。それは、弱みに注力すると逆効果になるからです。

しかし、世の中の部下を持つ上司68%は、部下の弱い部分に注力することこそ、仕事上で能力を最大限発揮できるものだと考えています。皮肉なことに、弱い部分に注力し、改善を試みようとすればするほど、部下の全体の能力が27%も落ちます。

一方、強い部分に注力すると、部下の全体の能力は36%も伸びます(参照:Michelle Mcquaid)部下を持つ立場の人は、1人の人生を「大きく」変えてしまう力を持っています。

人には必ず最初からある複数の資質によって、独自の強みが発揮できるといいます。『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』によると、180問の質問にオンラインで回答することで、34個ある「強みとなりうる資質」のうちの5つが明らかになります。

アインシュタインは、自分の仕事を「組み合わせ遊び」と表現していたようですが、まさにこの資質の組み合わせこそ、あなたのクリエイティブな考え方を発揮するための重要な要素です。

この5つの資質をさまざまな組み合わせを何度も試すことによって、得られる知識の種類が多様になり、結果としてクリエイティブな考え方につながる可能性が高まるわけです。

自分という人間がどんな強みを持っているかが明確にわかっていれば、その強みを最大限に生かした仕事ができます。でも、そういった生き方を実践できている人は、日本人でわずか15%のみです。

あなた独自の強みの源となる5つの資質は何でしょうか。「最上志向、着想、内省、学習欲、共感性」が私の5つの資質でした。今でも、いろんな組み合わせを意識しながら仕事しています。

クリエイティブ思考の邪魔リスト#14:「自分の強みを知らない」自分の強みの根源を見つけ、それに焦点を合わせ、実践と学習を通じ、強みという武器に仕立て上げるのは、クリエイティブな考え方を行ううえで、最も重要な仕事です。

本連載は、合計16回にわたり、学術書的な高度な専門学ではなく、日ごろの実務に基づく体験を元に「クリエイティブ思考の邪魔16リスト(16回やるから)」と題して、16の異なる視点から邪魔するものを毎週月曜日に紹介しています。次回は、「クリエイティブ思考の邪魔リスト#15は『多様性がない』」です。
【過去の記事はこちら】
#1:「俺はクリエイティブではない」と思ってはいけません
#2:自己ブランディングに罪悪感を持ってはいけません
#3:昨日と同じことをやっても生き残れない
#4:規則に従い、思考停止状態に陥ってはいけません
#5:多様な人材で異なる能力をうまく組み合わせるべし
#6:働きすぎて「100%仕事人間」になってはいけません
#7:リズムがない中で思うがままに過ごしてはいけません
#8:「集中」を分散させてはいけません
#9:「英語は不要」と思ってはいけません
#10:「制約はないほうがいい」とは限りません
#11:「ギーク=変わっていて好きになれない人」ではありません
#12:五十歩百歩では「驚き」がありません
#13:惰性に流される毎日を積み重ねてはいけません