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ロシア、戦術核想定の演習開始 ウクライナ侵攻拠点で

共同通信
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  • 塩崎 悠輝
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    静岡県立大学国際関係学部 准教授

    「戦術核想定の演習」というのは、ウクライナの東側にあるロシア南部のアストラハン州で行われましたが、核兵器を爆発させるわけでも、ミサイルを発射したわけでもありません。
     核弾頭をミサイルに装着して(と報じられていますが、本当に装着したのかはわかりません)、運搬して、発射体制に入る、という手順の予行演習を行ったものです。
     こういう演習自体は、ある程度の頻度で行われるものです。

    現下の状況ですから、当然、ウクライナでの戦争を前提としたパフォーマンスの意味が大きいです。
     演習で使われたのミサイルは、イスカンデル-Mで、戦術核兵器を発射することが想定されています。
     射程を考えれば、演習が行われたアストラハン州からだと、ウクライナ領内に届くか微妙なところです。
     もちろん、実際に撃つならアストラハン州からである必要は無くて、ウクライナ領内からでも、ベラルーシからでも撃てるでしょう。
     ウクライナ全土、バルト三国やポーランドにも、撃ち込むことはできます。
     そんなことは演習をするまでもなくわかっているのですが、目の前のヤクザが拳銃を懐に持っているのと、目の前でチラつかされるのとでは、脅しの効き具合が違う、ということもあります。
     その拳銃を実際に撃って人を殺せば、さすがにヤクザも懲役刑は免れないわけですが、ロシアも実際に核兵器を撃てば、米軍に叩かれます。
     ロシアにとって、核兵器は実際には抜けない刀であり、とりあえずは、こうやって脅しに使う道具です。
     それに、目の前のヤクザは、何かの拍子でトチくるって拳銃を撃ちだしかねないヤカラである、という印象を広めることで、あまり(ウクライナへの支援などに)関わらない方がいいのではないか、という躊躇をヨーロッパ諸国が持つ、というのがロシアの期待している効果でしょう。
     それで周りの人間が躊躇すると、ヤクザというのはさらに図に乗って、拳銃をさらにひけらかしたり、試し撃ちしたりし始めます。


  • 小泉 悠
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    東京大学 先端科学技術研究センター 准教授

    戦術核兵器は通常、国防省第12総局(12GUMO)が管理する集中保管施設(オブイェクト-S)で管理されており、大統領が核使用を承認すると12GUMOの輸送部隊によって戦闘部隊の基地付近に設けられた一時保管所(RTB)へと前方展開されます。要するに現場に核弾頭を「配る」というプロセスが戦術核の場合は必須であるわけです(戦略核は基本的に核弾頭をミサイルに積みっぱなし)。
    現時点では戦術核演習の「第一段階」と称される部分が1分半ほどのビデオとして紹介されているに過ぎません。
    https://tass.ru/armiya-i-opk/20864651
    しかし、この中にはおそらく12GUMOの輸送隊列と見られる車列が写っており、世の中のロシア軍事・核戦略界隈が局所的に大きく盛り上がりました。見る人が見ればそれなりに「オッ」と思うような脅しを今回のロシアはかけてきていると言えます。まぁこれが政治的意思決定にどこまで影響を与えるかというのはまた別問題だと思うのですが。


  • IWASHITA RAI

    米大統領戦もあるし、早いことケリをつけておきたい、もしくは、プーチンの焦りもあるんでしょうね。


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