これから訪れる新時代。その時代精神を体現しているのは、落合陽一さんだと思います。

過去1年、落合さんと毎週会ってきましたが、その息吹に触れるたびに、「もっと学び、実践しなければ」という焦燥に駆られます。彼の献身とスピード感に比べて、いかに自らが怠けているかを思い知らされるのです。

「なぜ今、落合さんが注目を集めているのでしょうか?」。

この質問をプロデューサーの秋元康さんにぶつけたところ、こんな答えが返ってきました。

「人はみんな同じ風景を見ていますよね。その中で、みなが分かりきっていることを言う人はつまらない人でしかない。落合陽一さんは、たぶん周りのことはどうでもいいのでしょう。自分が興味あることだけを話します。だから面白いし、みんな彼の定点に引き込まれたわけです」

同じ質問を落合さん自身にたずねたところ、「(自分のように)手を動かしながら喋ってる人は結構少ないんですよ」と語っていました。

落合さんからわれわれが学ぶべきことは、いたってシンプルです。

誰よりも学び、誰よりも実践することによって、自らの知と感覚を磨き、自分にしか創れない何かを産み出すこと。それによって、新時代が求められるポジティブなインパクトを社会にもたらすことです。

そうした「学びと実践の往復」を行う場として、われわれはNewsPicksアカデミアという「実践者の学び場」を創りました。

第一線の実践者によるMOOC(オンライン講義)、イベント、ゼミ、書籍、記事を通じて、 実践のための知識・技術・情熱・同志を得ていく。それが、NewsPicksアカデミアという場所です。

これからの時代においては、実践の重みが格段に増します。絶え間ない実践によって、自らの正解を創造していかないといけません。

佐々木 紀彦

戦後の日本は、正解がわかりやすい時代でした。

受験勉強を頑張って、いい大学・企業に入り、家庭も顧みず仕事に入れ込んで、出世を目指す。それが男性の本懐でした。一方の女性は、結婚後は会社を辞めて、専業主婦となって家庭を守るという生き方が主流でした。

しかし、これからの時代に“唯一の正解”はありません。

それぞれの人が、それぞれの幸せのために、実践と学びによって自分なりの正解を見つけていかなければなりません。古今東西の事例に学びながら、不断に自己を革新し、新しいモデルを創っていかなければならないのです。

ちょうど今の時代は、福澤諭吉が慶應義塾を創った明治初期に似ています。当時の福澤はきっとこう考えたのではないでしょうか。

「日本が繁栄するには、新しい時代に通用する“実学”を身に付け、社会の先導者にふさわしい“智徳”と“気品”を備えた人材を育てないといけない。そのためには、江戸時代のモデルが心身にこびりついたサムライを再教育するよりも、野心ある若者を一から教育したほうが早いし、社会へのインパクトがでかい」

西洋というわかりやすい正解があった当時と異なり、現代には確固たるお手本がありません。それだけに、今を生きるわれわれは、よりいっそう学びと実践に励み、多様な正解を見出さないといけないのです。

実践なき知識は、すぐに陳腐化します。実践なき言葉は、人の心を揺さぶりません。

だからこそ、われわれは「実践」にとことんこだわりたいのです。最初は小さな一歩でも、コツコツと実践を積み重ねていけば、必ず道は開けると信じています。

MOOC(オンライン講義)や書籍を通じて実践者の知に触れ、イベントを通じて実践者の情熱に触れ、ゼミを通じて実践者の全人格に触れる。さらには、会員同士が実践する同志として互いに学び合い、高め合っていく。

そんな場をプロデュースし、実践に挑むみなさんのお役に少しでも立つこと――それがNewsPicksアカデミアの存在意義です。