
【超ヒット】『ワンピース』実写化について尾田氏が語った
塩崎 悠輝静岡県立大学国際関係学部 准教授
『One Piece』はヤクザ・マンガなんですよね。前半(「戦争」とエースの死まで)のストーリーなどは、いわゆる股旅物です。
一番近いのは『次郎長三国志』でしょう。ヤクザの一行が旅して、行く先々の問題を解決してはまた次の行き先へ移動するストーリーです。もともとは、講談に起源があり、講談の人気ジャンルを映画化したものです。
股旅物の肝は義理と人情の渡世であり、作品冒頭のルフィがゾロを助けに行くシーンなども典型的ですが、無茶とわかっていても義理と人情のために戦いに行く物語の繰り返しです。
つまり、非常に日本的な文脈の上になりたっています。
「海賊」と名乗っていますが、海賊行為は全くしないし、あれは冒険する渡世人です。
麦わらの一味も、今では何千もの海賊に盃を与えて(盃固めの儀式は、作中で何回か出てきます)、広大な各地のシマを守る大組織になりましたが、基本は股旅物です。
『NARUTO』が、ニンジャといいながら全然ニンジャではなく、現代的特殊部隊であったのと似ていますが、『NARUTO
』は実態は非常に現代的であるだけに、欧米で早くから大ヒットしました。それこそ、『One Piece』を上回っていました。
『One Piece』は非常に日本的文脈で成り立っている作品だから欧米風につくり直そう、とするなら、それは幾多の実写化を大失敗させてきた典型的パターンにしかなりません。
この記事では触れられていませんが、あの『ドラゴンボール』を箸にも棒にもかからない興行的大失敗に終わらせてしまった、という黒歴史がハリウッドにあります。
米国の映画会社とて、名のあるSF小説をこねくりまわして別物につくりかえる、といったことはしません。
マーヴェルコミックの実写化にしても、興行的には大成功を重ねてきました。
結局、今に至るまで、日本のマンガに対する理解と経緯がなかったのです。「自分たちならもっとうまくつくりかえることができる」という思い上がりが、実写化をダメにしてきました。
異文化でよくわからないものなら、異文化のままで忠実に実写した方がよかったのです。















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